不動産売買の際は、所有者本人の判断能力があることを確かめるため、司法書士が本人の住まいや老人ホームなどへ出向き、認知症でないかどうか面会に行くこともあります。
その結果問題ないと判断されてはじめて不動産売買契約が有効に締結され、所有権移転登記も実行されます。
もし認知症である場合、不動産売却や遺産分割など種々の行為を行うためには後見人という手助けの存在が必要となります。
このための仕組みが
成年後見制度とは、認知症や精神障害などにより判断能力が不十分な方を法律的に保護し、支えるための制度です。判断能力が不十分な方を成年被後見人(以下「被後見人」)、被後見人を援助する方を成年後見人(以下「後見人」)と呼びます。
成年後見制度を使い、後見人を立てるためには家庭裁判所へ法定後見の申し立てをする必要があります。
概ね、次のような流れになります。
申し立てのための書類作成、資料収集(戸籍謄本、住民票、親族関係図、財産目録、収支状況報告書など)
申し立てのための面接日を家庭裁判所へ予約
申し立ての面接
本人調査(被後見人となる本人との面接)
鑑定(本人に判断能力がどの程度あるかを医学的に判定。申し立て時の医師による診断書の内容によっては省略されることもあります)
審判
審判確定(審判書が後見人に届いてから2週間で確定となります)
後見登記(裁判所から法務局へ職権で申請されます)
申し立てから後見登記が完了するまで2~4カ月程度かかります。申し立てに必要な資料準備・打ち合わせなども含めると、6カ月程度はみておいた方が良いかもしれません。
実際に、後見開始の審判申立をされた方のお話を聞くと、申し立てのために必要な家庭裁判所への提出書類を揃えるだけでも手間と時間と費用がかかるようです。
後見人と認定されたあとも報告書の提出など、不動産の売却が無事に済んだあとにも様々な業務が続きます。
認知症になる前に出来る事はたくさんあります。
認知症のリスクは誰にでもあります。
準備が早すぎることはありません。
些細なことでも今のうちにご相談ください(^_-)-☆